人と人をつなぐ

「地方と東京では、仕事のやり方が違う」全国に支店を持つ、メーカー営業社員さんがこう呟くのを、私たちはよく耳にします。

メーカーの支店は、必ずしも北陸にあるとは限りません。そのため、メーカー営業社員さんは、石川・富山・福井の病院と、そこで勤務する先生方についての情報を、収集しにくい環境におかれています。地理的な距離の遠さが原因で、思ったような営業活動が進めにくいとも聞きます。そんな彼らの「困りごと」を、お客さまと近い距離にいる私たちが、解決するお手伝いをしています。

たとえば「商品を紹介するために特定の先生に会いたい、でも何時頃に病院を訪問すればいいかわからない」という悩みを、メーカー営業社員さんが持っているとします。ある病院に勤務する△△先生の行動は、パソコンで検索しても出てこないし、地元にいないと知るすべがありません。 普段接触をしていないとわからない生の情報がほしいと要望が出たときに、私たちの出番がやってきます。

担当している各病院の先生方が、いつ頃出勤して、どのように診察をされているか、トミキの社員は、個人別の行動パターンを大体把握しています。

だから「△△先生なら、12時の外来が終われば会えますよ」と、投げかけられた質問に返答ができるんです。

地域密着の営業スタイルならではの強みを活かして、都市部を拠点とするメーカーさんをサポートする業務を、私たちは行っています。

先生方の勤務時間を伝えたら、あとは当事者だけで話が進んでいくかといえば、そうとは限りません。

病院とトミキの長年の信頼関係を見込んででしょうか「自分たちだけで先生方と接触するのではなくて、トミキさんにも間に入ってもらえたら助かる」と、メーカー営業社員さんから仲介役をお願いされる機会もあるんです。

彼らと病院の先生方の双方が、スムーズに会って話し合えるように段取りをつけるのも、日常業務のひとつです。

私たちは、病院とメーカーさんとの間を取り持つ「調整役」をしています

この「調整役」が、案外難しいのです。

メーカー営業社員さんは、病院に製品を購入してもらうために、日頃から一緒に活動をする、自分たちの仕事仲間です。そして病院関係者もまた、医療の現場で共に協力して患者さまのために働いているパートナーです。

この二者間に入り仲介を行うとなると、ともすれば微妙な立場におかれるのが私たちなのです。

複数のメーカーが同じ病院で同時に営業活動を行うケースでは、選ばれるのは1社のみで、決定権はあくまで病院にあります。各会社の製品を売るための努力を身近で見ているので、なるべくメーカーさんたちの期待には応えたい。けれど私情は挟まず、仲介者としての役割を貫くように心がけています。

病院関係者に求められれば、製品についての客観的な意見を述べますが、それ以上の介入は控えています。親しんでも、慣れ合いにはならないように、バランス感覚を保ちながら行動をしていますね。

ときには病院とメーカーさんの思惑が一致せずに、不穏な空気が流れそうになる案件を扱うこともあります。そんなときには両者の間へ入り、「調整役」として関係者が気持ち良く話し合いに臨めるよう、配慮します。

誰の顔もつぶさず後味が悪くならないように、人と人を取り持つ力を問われるのが、 私たちトミキ社員です。空気を読む力や、その場の状況に合わせて適切に振るまう判断力が、常に仕事を通して鍛えられます。

人と人をつなげる仕事は簡単ではなく、営業社員に任せられる責任も大きい。

楽な案件ばかりではないし、誰かが損な立場となる状況に居合わせることもあります。

心の中で、

(今回は力になれなくて申し訳ない、次回に機会を設けられるように努力します)

とお詫びをする場合もあり、気配りは欠かせません。

では楽そうに見える仕事だけをしたいのかと言えば、そうとは言い切れないのです。

気苦労はあっても、自分たちがつないだご縁から新しい取引が発生し、それが循環して患者さまの利益となった経緯を知ると、仲介をさせてもらって良かったなと思います。

営業社員一人ひとりが病院とメーカーさんを結ぶ「窓口」として責任を持って働く。

自分たちの仕事のスタイルに、やりがいを感じています。