『機転をきかせよう』

(今準備できるのは、一点だけ。別の病院に同じタイプの製品は置いてないから、代わりに他のものを使ってみてはどうだろう)

病院から入る「至急持ってきてほしい」の要請には、何度経験しても、常に緊張感がついてまわります。



けれど手元にある材料を組み合わせて、いかにお客さまのオーダーに応えられるか。自分のコーディネート能力を問われる絶好の機会でもあるのです。

僕たちの仕事には、例外が必ず入ってきます。今日は内勤中心にしようと予定を組んでいても、交通事故の手術など突発的な案件が入ると、そちらが最優先となります。

前もって病院から手術の予定を聞いている通常の場合は、準備に抜かりはないんですが、 緊急時には、そうはいきません。

お客さまから依頼を受けたら、即対応をしなければ間に合わない。

今日中に手に入らない製品に関しては、「申し訳ないけれど、ご用意できません」と伝えて、代わりで代用します。

お客さまの依頼によっては、揃えにくいアイテムが集中している場合もあります。そんなときは悩みますね。

でも僕たちが必要な製品を届けないと、手術は始まりません。 複数のメーカーを思い浮かべて、過去の手術でよく似た使い方をしたものを代用しよう、B社の在庫が近くの病院にあれば貸し出ししてもらおう、などと知恵を絞って打開策を考えます。

そのうちにパズルのピースをはめ込むように、「この組み合わせなら、いけるのでは」と閃めく瞬間がやってくるんです。

先生や看護師さんから、自分が考えてコーディネートした器具を使って手術が上手くいった、と後で話を聞くと「やった!」と難問を解決できた達成感を感じますね。

僕たちは、仕事柄毎日何かしらイレギュラーの対応に迫られます。ときには、しんどいと感じることもありますが、日々直面するさまざまな状況をどうクリアしようかと、チャレンジ精神を持って難問に挑んでいます。