『お客様にとっての最適』
今はインターネットでも、その気になれば一部の医療機器なら購入できる時代です。
私たち業者が必ずしも介在しなくても、製品は手に入るようになりました。
そんな時代に私たちが、お客さまへ提供できるものとは何だろう。
いつも模索しながら、目の前のお客様と向き合っています。
私たちのサービスのひとつは、医療機器購入までにお客さまが感じられる、心理的な迷いや不安を取り除くお手伝いをすることだと考えています。いざというときの、身近な相談相手とでも言えばいいでしょうか。
当たり前と言えばそれまでですが、メーカーさんは、自社製品を悪く言わないんです。
先生方への営業活動では、製品のメリットしか述べません。
私たちは仕事柄、たくさんのメーカーの商品を取り扱い、それぞれの長所・短所を理解しています。先生から「君はどう思う?」と意見を聞かれたときには、他社製品とも比較の上で、「機能の面では優れていますが、ランニングコストは高めになります」と、商品のメリット・デメリットを説明できるんです。一方に偏らずに公平なものさしで、ひとつの製品の良し悪しを計れるのが、業者の特権だと思っています。
先生によっては、メーカー推奨品が自分たちの病院にとって良いものなのかどうかの判断に迷い、私たちの考えを参考に、購入する・しないを決められる場合もあります。
ですから常に中立な立場から。お客さまにとっての最適な提案を行うように、心がけています。
もうひとつは、お客さまに合った「最適」を提案する、アドバイザーの役割でしょうか。
たとえば医療機器の中で特に大型機械の購入は、病院によって数年に1度、もしくは10年単位ごとで行われます。価格・性能・使い道・予算など、さまざまな基準に照らし合わせて何を買うかを検討されますが、名称が同じ製品でも、高い機種からそれなりのものまで、価格帯には幅があります。
病院経営の観点から単純に金額面だけを考えると、安価な製品は一見、魅力的に見えます。
時間の限られたなかで備品を選ぶとなると、細かい性能の違いが気にならなければ「安い方でいいんじゃないか」と値段が決め手となる場合もあります。
もちろん、用途や性能に納得されていれば、手ごろな価格のものを求められて問題ありません。けれど予算に幅が取れる場合は、将来を視野に入れたうえでの購入をなさった方が、未来の収益増につながります。だから可能な限り、先を見越した提案をさせてもらうんです。
先日、ある病院で備品申請の時期を迎えたときに、価格帯の異なる2つの製品の中から1点を選ばなければならないケースがありました。
私はあえて、高額な機種をおすすめしました。何通りの治療にも使えて、機械の導入自体が宣伝効果を呼び、患者さまを集める装置としても機能する——病院にとってたくさんの利点を備えていたからです。こちらを選択した場合に生じる効果を伝えられなければ、自分が存在する意味がないと感じていました。
予算的に厳しかったこともあり、先生から「検討しますね」と、その場では言われただけでした。
しかし蓋を開けてみたら、高性能な製品を入れてくださると決まっていたのです。
私は思わず「どうして、高い方を選んでくださったんですか」と訳を尋ねました。
すると先生は、「この先を考えて君が提案してくれた内容に納得をしたからだ」とおっしゃったんです。おすすめした方を選ばれた理由は、客観的な視点にもとづいた意見の正当性を、ご理解いただけたからだと思います。
でもそれに加えて「病院にとってもプラスとなる、この製品の良さを伝えたい」という自分の熱意が、先生の心を動かしたからではないかと思っています。
目先の収支を優先させず、将来的なお客さまと患者さまの利益を考えて製品を選ぶ。
それは当事者ではない、業者である客観的な立場だからこそ、できること。
本当に良いものを、迷わずにお客さまへ伝える。
お客さまと製品、人とモノの間をつなぐ「橋渡し」を、私たちは行っています。