どうすればできるだろう
僕が先生たちから「ド○○○ん(ねこ型ロボット、アニメの主人公の名前)」と呼ばれていると、最初に教えてくれたのは、メーカー営業社員さんでした。
皆さんからの依頼を受けているうちに、「あの人に任せれば、何でも解決する」と病院内で評判になっていたようです。
あるとき若手の先生が、「次回は、どんな準備をしておいたらいいですか」とベテランの先生に尋ねられているところに、たまたま僕も居合わせました。
すると年配の先生は僕の方を向いて「“ド○○○ん”に言っといて」と、おっしゃったんです。
(聞いていた話は、本当だったんだ)
実際に、自分がアニメのキャラクターの名前で呼ばれている場面に遭遇して驚きましたが、僕を頼りにしてくださっている気持ちが伝わり、嬉しかったですね。
お客さまは僕たちに、いろんな相談を持ちかけてこられます。
東北地方の大学を卒業された先生が、出身医局の東北の病院で使っているものと同じ製品が欲しい、とおっしゃったことがありました。北陸から遠く離れた東北の病院関係者には知りあいはおらず、面識もありません。
どうしようかと戸惑いましたが、僕たちはメーカーさんや、つてをたどって情報を集め、何とか用意しました。
「学会で見たDVDに映っていた、あれを探してほしい」と頼まれたときには、まず画像に出ていた製品を特定するところから始めました。
意地でも見つけてみせる! という気持ちで、先生の指定されたものを探し出しましたね。
「どうすればできるだろう」いつもこう考えて、仕事に取り組んでいます。
もちろん不可能と判断したらお断りはします。
でも、まずは「やってみる」方向で、物事を進める。その姿勢が、きっとはたからは、あらゆる状況に対応しているかのように見えるのだと思います。
日頃の取り組みの成果は、あだ名というカタチに変わって、僕のもとへ届きました。
病院内では、この呼び名が広まっています。
最初は戸惑いましたが、嫌な気分はしないですね。
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できないと言う大切さ。
お客さまに頼りにされると、やっぱり嬉しくて。
「任せてください!」と何とかして期待に応えられるように奮闘してしまいます。
でも「これは無理だろう」と、話をしている最中に、わかる場合があるんです。そんなときには、僕はどんなに話しづらくても「できません」と、はっきりお断りをしています。
ただし、いったんお客さまのおっしゃる話を全部聞いて、その内容を受けとめてから、「無理です」と言うようにしています。用件は引き受けられなくても、お客さまの気持ちは受け入れたい。その上で、何故できないのかの説明を、欠かさないように気をつけています。
お客さまに、嘘はつかない。
手に負えない依頼を受けるのは、嘘をつくことと、結果的には同じです。
病院のスタッフさんやメーカー営業社員さんの前で、自分が良い顔をしたくて無理をしたら、しわ寄せは皆さんだけで終わらず、その先にいる患者さまへいってしまうかもしれません。
お客さまや患者さまへ迷惑をかけては、本末転倒です。
だから正直に、「できないものは、できない」と話すようにしています。
嘘をつかず、そして嘘のない自分でいる。それを僕は意識しています。