病院にいつもいる人、それがトミキ社員です

台車に段ボールをいくつも乗せて廊下を横切っているかと思えば、看護師さんと話す。

病院内のあらゆる場所に出没する、謎のスーツ姿の人間が、僕たちトミキの社員です。

診療科数の多い、大学病院のような大きな病院を担当していると、診療科ごとの問い合わせや依頼に応える件数が多くなります。すると会社よりも、病院内で過ごす時間が多くなるんです。

朝から担当病院に出向いて、夕方会社へ戻る。ずっと出先に詰めている状態も、めずらしくはありません。

こうなると、会社と病院のどちらに出勤しているのやら、わからない状態です。僕たちはいつも病棟のどこかで、何かしら仕事をしています。

病院内に滞在する時間が、長時間なだけではありません。ひとつの病院を担当する年月も、通算すると長期になります。転勤や異動で新しく赴任された医師や看護師さんと話をしているとき、自分がその病院のことを隅々まで知っていることに驚くことがあります。

長年担当をしているのに加えて、仕事柄製品をお届けするためにあらゆる病棟・診療科を自在に行き来しているうちに、自然と職員皆さんの名前が頭に入ってきます。病院のあちこちに、顔見知りの職員の方がいらっしゃる環境は、働きやすいです。これは院内専用の、いわば見えないフリーパスを持つ身である、僕たちの特権かもしれませんね。

もう声を聞けば誰からの問い合わせなのか見当がつくので困りませんが、名前を名乗らずに、「画面が映らないから確認してもらえる?」と要件を言い始める職員さんもいます。

電話を取ると「どこにいる?」と病棟内に僕たちがいる前提で、スタッフさんが話を始められるのは当たり前です。

医療機器を扱うただの業者という見方は、たぶんされていないでしょう。業者ではありつつも、所属していないけれど病院と限りなく近い場所にいる人である、と見なされている気がします。病院に溶けこんでいる存在とでもいいますか。いつもいる人と思われているのではないでしょうか

同じ空間で雑談をしながら、向こうは備品の整理をされて、自分は商品のチェックをする。手術や検査の対応以外に、日常業務を行う時間も一緒に過ごしているからでしょう。

皆さんからのお願いを受けて、ときには自分も頼みごとをするやりとりを重ねるなかで、お客さまと業者の関係を超えた、つながりを感じるようになるんです。病院の皆さんの温かさに触れるおかげで、僕たちは毎日のように起きる緊張する状況や深刻な事態にも、より気持ちを楽にして対応ができている、と感じます。

先生やスタッフさんたちは、お客さまではありますが、医療にたずさわる現場で一緒に時間を共有している方たちでもあります。和気あいあいと軽口をたたきながら仕事ができる、もうひとつの自分の居場所が病院にもあることに、僕は感謝をしています。